はじめに
Let。
日本人にはLet's go, let it beで使われる単語だとか、学校ではmakeとかhaveと同じように使役動詞だとか教わる単語、というイメージでしょう
また、いまいち、日本語的な感覚からはわかりにくい単語です。
こう色々と訳している自分も恥ずかしながらよくわからないところがあり、いい機会なので少しまとめてみたいと思います
(用語の使い方は若干自己流かもしれませんがご了承ください)
目次
核
letは使役動詞なので、基本的にV(動詞) O(目的語(名詞)) C(補語)の形を取り、かつCは基本的に原形の動詞です(前置詞句や形容詞の場合もあります。)
ex) let me go
V O C
訳:行かせてよ(離してよ)
直訳的な意味は、OにCさせてあげる
makeやhaveも同じ形を取りこちらは、OにCさせる、という意味です
しかし
makeが、Oの意志を問わず無理やりさせる、的な意味になる
のに対して
letは、Oの意志を尊重するような、意味を持ちます
(ちなみにhaveはmakeほど強くない雰囲気です)
使い分け
目的語や主語の違いで分けていくのが、日本語的にはわかりやすいでしょう
命令形、目的語が一人称(me, us)
let me go
行かせてよ
行こう
let us go
行かせてもらおう
一番多い形。英語を読むと結構見かける形でしょう。
どちらも命令形で、目的語も一人称で話し手自身、ということ
語義に倣って、目的語すなわち自分の意思を尊重する、という意識、そして命令形、ということを意識して訳すと、
させてよ、させてください、させてもらおう
などが、いいのではないでしょうか
自分たちの意思を尊重する、ということを意識した訳ができるとよいですね
let'sとlet us
ちなみに、let'sとlet us
let'sはlet usの短縮形だから同じじゃん!
と思いますが、この辺は慣用的に
話し相手が「us(私たち)」に含まれているかどうか、という違いで、変わるようです
let'sなら、(相手も含めて)しようよ
let us goなら、(自分たちは相手と違って)するから、させてもらうから
的な雰囲気です
一人称主語、目的語も一人称(me, us)
May I let myself in?
入ってもよろしいですか
I can still hear the sound if I let myself
思い出そうとすれば、まだその音が聞こえる
あまり見ない形かもしれませんが、こういう使い方もあります
語義に倣うと、自分で自分にさせてあげる
ここから
自分の意志でやる、ということをあえて表明する意図がありますね。
訳にすると
~しよう(自分自身に問いかける雰囲気)、~しますよ(相手がいる)
など
上の例文にもあるような、部屋に入ってもいい?とか、部屋入るよ、などの場合に使うことが多い雰囲気。
目的語が二人称(you)
Bismillah! No, we will not let you go
アラーの名のもとに、断る! 私たちはお前を行かせない
語義の通り、目的語すなわち「あなた(you)」 の意志を尊重させる、という意味にすればいいですね
なので訳は、
あなたに~させてあげる
(例文は否定なので、させはしない、ですが)
がいいですね。
目的語が三人称(it, him, her, them...etc)
Let 7x equal z
7xをzと等しいとするならば
So don't let her play you for a fool
だからって彼女に惨めに思われるようなことをするなよ
In the Evening / Led Zeppelin
※play (one) for a fool: を馬鹿みたいに、哀れなやつのように扱う
let it go
手放せ
目的語が三人称の場合は、文章の文脈を見ないとうまく訳せない場合が多いです
でも、やはり語義は、目的語の意志を尊重させてあげる、です。
一番上や一番下の例文の目的語を見てください
「語義の通りなら、意志も何も目的語は7xとかitで、生き物じゃないから意志とかないじゃん」
と思うことでしょう(^^;
ただ、ここでは無生物であろうと目的語の後の動詞のようにしたいんだ、と無理やり仮定してとることにします
訳し方としては
(一番目の文なら)
仮に~とする、たとえ~しようとも
(三番目の文なら)
させておく、(命令形なら)させておけ
などですね
二番目の例文は普通に人相手ですね
ここは語義と、命令形ということを込みして
させてあげろよ、させてあげなよ、
で意味が通ると思います(否定なので、させるな(letなので、しないで済むようにしろよ、という雰囲気)、ですが)
余談~アナ雪のLet it go
ちなみにLet it goといえば、ディズニーの映画「アナと雪の女王」につかわれた曲で、これもletを使っていますが、歌中で
ありのままの~
などと訳されているのは有名ですね
しかし直訳しようとしたら
「それを行かせてあげる」
・・・・?
意味が分かりません
そもそもit(それ)ってなんだよ、笑
みたいになってしまいます
この辺は、前段落の最初に描いたように、目的語が3人称の場合は基本的に文脈で考えなくてはいけません
itは何かを指し示す代名詞ですが、
特に指し示すものが手前の文章やその文に出てなさそうなら、
日本語の「それ」、と同じように、なんとなく話者が思う身近なものを指すこともあります
例えば「今この状況」、など。
あとは特に意味がなくて慣用句にとらえたりすることも多いですね
なので、let it goは、goがどこかここから違う場所に行くイメージも加えてかつ、letの語義にもならい
それを行きたいところに行かせてあげる
それを解放する、解き放つ
のような意味になります。
アナ雪の場合結構超訳的ですが、
登場人物で劇中の歌手であるエルサには自分を上手く出せない、という前提があるので
it(それ)、というのを、自分の気持ち、と考え、
またletの語義も意識して訳してみます。
その結果、
let it go
→自分の気持ちの行く方へ行かせてあげる
→ありのままの
としたのではないでしょうか。