このサイトは和訳をするサイトなのであまりバンドやアーティスト自体の解説を主に置かないのですが、
このバンドにはまったかつ、あまり彼らを深堀する記事が日本語で存在しないので、自分の感想や主観を交えつつ、書いてみることにしました。
※一気にとはなりませんがゆっくり追記していきます。
Type O Negativeとは
アメリカのニューヨークのブルックリンで1989年に組まれたバンドです。
音楽的にはゴシックメタルとか呼ばれますが、ピーター曰くビートルズとブラックザバスに強く影響を受けた結果のようです。
叙情的なエキゾチックさをビートルズ由来、リフの押しの強さをブラックザバス由来と考えれば、結構納得のいく感じはします。
あとはやはりピーターの低音ボーカルが印象的です。
雄を感じますね。
また地元の友人同士で始めたバンドで最初から最後までブルックリンで活動をするなど、案外土着感の強いグループだったりします。まあニューヨークなので都会ですが。
途中ドラムだけメンバーは変わりますが、他は変わらず活動し、最後2010年にピーターが心不全で亡くなり、バンドは終わりました。
メンバー
メンバーは4人いて、
まずベース、ボーカルのピーター・スティール(Peter Steele)(右から二番目)
彼が中心人物で、曲もすべて書いてます。彼の低音ボーカルこそがこのバンドのアイデンティティです。2mを超す身長とガタイの良さで、ヴィジュアルの雄々しさが半端ないです(ただ繊細で晩年は結構抱えて病んだりしていたようですが)
次に、ギター、ケニー・ヒッキー(Kenny Hickey)(左から二番目)
時々ボーカルをとる曲がありますね。声質がだいぶ違うので、聞いたらわかります(ピーターより高め)。シャウト系のハードロックっぽいボーカルはピーターより得意そうです。
キーボードのジョシュ・シルヴァー (Josh Silver)(一番左)
バンドの耽美さの要となるキーボードです。ライブ時、曲によってはギターのような音を出してギターのオバーダブ部分を再現することもあります。
そして、ドラムのジョニー・ケリー(Johnny Kelly)(一番右)
ジョニーは、二番目のドラマーで1994年から解散までドラムを担いますが、もともと最初のドラマーのドラムテックだったようです。
現在はケニーとのSilvertombというバンド(2017~)のほか、あのランディ・ローズが最初に入っていたことで知られるQuiet Riotにも参加しています。
ちなみに、1994年以前のドラムは、サル・アブラスカート(Sal Abruscato)です。
歴史
デビュー以前
まずピーターですが、彼は最初Carnivoreというバンドをやっていました。
これもType O Negativeと同じくニューヨークのバンドで、1982年からやっていました。ちなみに曲はスクリームの入ったヘビメタ、ハードコアという印象。TONの初期の曲と近いかも。Bloody Kisses以降についた一般的なイメージで行くとだいぶ違う印象です。
ただ、1987年に解散してしまいます。(ちなみに1994年以降時々再結成しフェスやライブを行うことはあった様子)
このバンドが一度解散したあとに、ピーターが友人たちと作ったバンドがのちのType O Negativeです。(名前は初めにRepulsion、他Sub-Zero、何回かの改名を経て、Type O Negativeになったよう)
レコード会社は、Carnivoreの時にアルバムを出していたRoadrunner Recordsと契約し、1991年にファーストアルバムを出します。
ハードコア期
1991年にSlow, Deep and Hard、1992年には The Origin of the Fecesというアルバムを出します。
のちにTONの一般的な曲のイメージは耽美な曲となるように、そういうスタイルを確立するのですが、
この頃の曲はだいぶ印象が違い、曲のテンポは超速く、スクリーム的なボーカルも多いです。
また曲がかなり長かったり、個人的にはだいぶとっつきにくい印象。正直あまり聞いてません。。。
ただこのころから構成が入り組んでいたりと、コンセプチュアルな雰囲気は既にあります。
またThe Origin of the Fecesに関しては、その名前に意味に反さず、オリジナルのジャケットがお尻の穴と女性器がまんまで写っていたりしました笑。
(今ではがいこつの絵に挿し変わっています。)
まあType O Negativeというバンド名にしても、字面だけ追えばO型Rh-という意味ですが、もともとはこれを表す記号(ロゴにも使われる→)が性器だかケツの穴だかに見えるからだとか、そんな理由を述べているのをどこかで見かけました
基本的にそういう方向性です
曲のスタイル確立期
1993年にBloody Kisses, 1996年にOctober Rustを出します。
Bloody Kissesから彼らは売れ始め、チャートにも登場し始めます。
ここでシングルになった曲は、Black No.1、Christian Woman、Summer Breezeがあるのですが、
前者二つはPVも作られ、本国では彼らの中で最も知られた曲の一つ、二つになったようです。
おおよそ以降の曲は、
Black No.1のような曲(スロー~ミディアム程度のテンポのリフで引っ張っていくタイプ)と、
Christian Womanのような曲(耽美なメロや音が印象的なタイプ)
が大半を占めるように思うため、ここで方向性が決まったのではないでしょうか。
他、前のアルバムまではbpm200くらいってそうなハードコア曲があったのですが、
このアルバム以降はだいぶ眉を顰め、ほぼスローからミディアムくらいで、その中でテンポやリフを変えていく曲構成になってきました。
そして、October Rust。
前作Bloody Kisses以上に耽美でスローな曲が増えています。個人的に一番好きなアルバムです。
耽美なオープニング曲 Love You To Deathのほか、歌詞にユーモアのきいたMy Girlfriend's Girlfriend、ニールヤングのカバーであるCinnamon Girlがシングルになってますね。
他、公園で植物の世話をしていた経験を歌詞にしたGreen Manも、人気があったようです。
あと個人的には、最後の曲Hauntedも好きです。
この曲は10分を超す超大作ですが、bpmは60代と非常にスローです。
youtubeを見ると現在の形になる前のトラックが流出してますが、結構練られた曲のようです。
ちなみに自分は、この曲を和訳リクエストとしてもらったのがこのバンドを知ったきっかけだったりします。
またこれは音楽の話ではないですが、同じく1996年には、Playgirl誌にピーターはヌードを飾ることになります。
Type O Negativeが広まるにつれ彼の雄々しさも認知され、こういう流れになったんだと思いますが、割とスキャンダラスなネタとしても扱われたり。
安定期?
Bloody KissesとOctober Rustの成功で、基本的にアメリカ国内でのライブが多いTONも、ワールドツアーを行うことになり、それも成功します。(とはいってもアメリカ+ヨーロッパですが)
Ozzy Osbourne率いるOzzfestに出たのも、1997年だったりします。
続けて、アルバム作成に入り、
1999年にWorld Coming Downをリリースします。
これもチャートでは上位を獲得します。
曲は、暗くてゆっくりな曲が多いですね。前作は耽美でしたが、比較すると派手さが少なくもっと哀しい感じです。
アルバムの最後にはビートルズのカバーメドレーが入っていますが(Day Tripper / If I Needed Someone / Day Tripper / I Want You (She's So Heavy))、
メロディ自体はいじっていないのに全然違います。。。
重すぎだし、テンポも変わるし、ブレイクするし、声が太いし。完全に彼らの曲です。
知らない曲だったらまあまずTONの曲だと思うことでしょう。(ビートルズを知らないで彼らを知るというのもまれな気はしますが)
この辺、彼らの音楽性がかなりよくわかる気がします。
シングル曲は、Everything DiesとEveryone I Love Is Deadですね
Everything DiesはPVが作られています。
続いて2000年には、未収録曲や、リミックス曲を集めたコンピレーションアルバム「The Least Worst Of」をリリースします。
アルバム名が「Of」で終わっていますが、アルバム名というのは基本的にバンド名と一緒に書かれるので、意図するところは「The Least Worst Of Type O Negative」でしょう。訳すと「まだましなType O Negative」
ブラックザバスのカバー曲も入ってたりしますが、Type O Negative感が半端ないです。
後期
2003年6月にアルバムLife is Killing Meをだします。
2000年から2003年はライブの記録が少ないのですが、このころ何かあったのでしょうか。。。アルバムを作るのに苦労していたとかそういうことなのか...?
このアルバム、音の質感は前作World Coming Downに近いですが、メロディといい編曲といいだいぶ聞きやすい曲が増えたように思います。個人的にOctober Rustの次に好きですね。
テンポの速い曲もいくらか戻ってきました。
初期の曲のようにスラッシュ系ではなく、パンク、ソフトロックレベルの速さですが、
彼らが演奏するとテンポが速くても重厚感があって、暴走列車のようなパワーを感じます。
シングルにもなったI Don't Wanna be Meに、ゲイじゃねーよーとユーモラスに語り、曲調もポップで爽快なI Like Goils。どっちも好きですねー
ほかにも、ビートルズを感じる曲も多いです。
もともとところどころにビートルズの影響はあったのですが、
Less Than Zero (<0)やHow Could She?、(We Were) Electrocuteなんかは顕著です。
ミクソリディアンなメロディが本当にビートルズっぽい。Magical Mystery Tour的な。
この後、少しレコード会社ともめたようで、
2004年に、RoadRunnerからSPV Recordsに鞍替えします。
しかし結果的には、ここのレコード会社から出すアルバムは一枚だけになるのですが。
終期
2007年、結果的に最後のアルバムとなる「Dead Again」を出します。
前作から4年ほど空きましたが、この間、時々ウェブサイトではピーター・スティールの(嘘の)死亡記事を出したりしてましたが、体調不良だったりで結構間の空いた活動にはなっていたようです。
すでに結構ピーターは病んでいたのか、Dead Againのタイトルトラックの歌詞は、痛み止めの中毒で苦しんでいることが書かれていたりします。
またジャケットのモデルはあの怪僧ラスプーチン
さて、このアルバムですが、今までと音の質感が全然違います。
一説?には、Ocotber Rust以降ドラムマシンを使っていて、このアルバムで久しく生ドラムにしたとか。
あとはレコード会社も変わったので、プロデュースのやり方が変わったのかもしれません。
とにかく生々しさが今までよりすごいです。
曲は、今までの十八番である速い遅いのを組み合わせだったりはありますが、意外となかったハイキーの曲も結構あったりで暴力性をすごく感じますね。
あとは、ピーターが死んでしまうような歌詞のSeptember Sunはピアノを使った穏やかなバラード風の曲ですが、
この曲はアルバムが出た後にシングルカットされ、TONのシングルでは最後の曲になります。
耽美さとは違うかもしれませんが、聴きにくいというわけではないですね。
病んでる淵の力強さを感じるアルバムです。
今までのアルバムが好きな人だったら、これも好きでしょう。
リリース後もライブは行い(2009年10月30日がラストライブ)
2010年4月14日、ピーターは心不全で亡くなります。
公式では前からデマの死亡記事を出したりしていたので、希望的観測で疑った人もいたとか。
メンタルは長いことつらい日々が続いたのでしょうが、最後は心不全。ある種、耐えきった印象さえ抱きます。
(続く...あとはまとめ等を書いたり、ところどころ追記しようと思います。)